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ビルに切り取られた夕焼けが暗く深く沈み込む。
名残を惜しむようにクレーンが空に突き刺さる。
光が溢れる駅前で星の見えない夜空を見上げる。すれ違いながら流れる人並みの中で、僕だけが一人立ち止まる。
ゆっくりと僕はイヤホンを耳に差し込み、プレーヤーのスイッチを入れる。
ぐらりと世界が歪む。
背骨が軋むようにアスファルトが捻れる。
崩れたビルからガラスの雨が降り注ぐ。
空が割れ、血のような赤が覗く。
耳をつんざくような衝突音。
急ブレーキ。
悲鳴。
やがて全ての音は死に絶え、
そして……
僕はイヤホンを外してみる。
いつもと変わりないざわめきが戻る。
ふうと息をつき、イヤホンを耳に戻して僕は歩き始める。
音の死に絶えた廃墟の中へ。